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日本人は他人の人生の価値観をとやかく言える立場にいるのか 

平成30年1月29日

 


 

29日午後1010分ごろ、北朝鮮側が韓国側に、南北合同文化行事を中止する旨の通知文を送ったと韓国メディアが伝えている。

 

22日に韓国市民の集会で,金正恩の顔写真が燃やされたとの大々的な報道を受けて,北朝鮮側が抗議の意味を込めて決断を下したものと思われる。

 

ただ,女子アイスホッケーの合同チームは訪韓してすでに練習を行っており,2月8日の三池淵管弦楽団の訪韓も「今のところ」予定通りのようである。

 

ただ,一方で,韓国ではオリンピックをめぐる南北融和ムードに否定的な国民が多いとの報道がなされている。だからこそ,金正恩の顔写真を燃やす国民が公然と出てくるのだが,当ブログでは,このような韓国国民の態度に断固異議を唱えたい。

 

理由については,あと数日間,北朝鮮側の反応をみてから述べたいと思う。

 

今日は,韓国の態度ではなく,日米の北朝鮮に対する態度について書きたい。

 

北朝鮮に対する最近の日米政府の言動のすり合わせをまとめると,次のように要約できる。

 

「非核化に向けて最大限の経済的圧力を継続していく(ただし,日本政府は単に圧力と言っている)

 

「北朝鮮の脅威は以前よりも高まっている。であるから,オリンピックをめぐる協議やそれに伴う南北関係の緩和は,包括的な問題の解決にはならない」

 

「北朝鮮問題は,外交によって解決されるのが望ましい(メディアが伝えている「外交」の意味が不鮮明だが,これは「対話」を意味するものと思われる。)

 

以上3点の理論的整合性については議論の余地があるが,その点はともかく,このような日米の態度は,世界のスタンダードではないことを認識する必要がある。

 

「最大限の経済的圧力」なるものの結果として,氷点下が続く真冬の北朝鮮に石油が全く入らなくなったら北朝鮮人民の日常はどうなるか,いくら安倍総理がバカでもわかることである。

 

つまり,日本政府としては,過度の圧力など本気で望んでおらず,政権維持のために適当に北朝鮮の脅威なるものをダシに使いたいだけというのが本音であろう。昨年10月の衆院選がそうであったようにである。

 

なお,日本政府が経済的圧力(経済制裁)をすることの意味について,元家族会事務局長の蓮池透氏が,ある政府関係者に経済制裁をすることの意味について尋ねたところ,次の答えが返ってきたという。(以下,蓮池氏の著書「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」から引用)

 

「経済制裁をすれば,北朝鮮はもがき苦しむ。そしで,どうしようもなくなって,日本に助けを求めてくる。ひれ伏して謝り,拉致被害者を差し出してくる。であるから,日本は広く窓を開けて待っているのだ」と。

 

これに対して,蓮池氏は,「経済制裁を発動して広く窓を開けているというが,ハエ一匹も入ってこないのが現実ではないか」と厳しく非難し,結局,最大限の経済的圧力をかけても,拉致問題など解決できないと結論付けている。

 

では,日本を含めた国際社会は北朝鮮とどのように向き合うべきなのか。

 

この点に関して参考になるのが,北朝鮮の元最高幹部の一人が書いた「続・金正日への宣戦布告 狂犬におびえるな」という著書である。

 

元最高幹部とは,黄長燁朝鮮労働党国際担当書記(以下,ファン元書記と記す)のことだが,日本にも滞在経験があり,何度か日本のテレビメディアにも登場して流暢な日本語でインタビューに応じていたので,ご存知の方も多いと思われる。

 

著書を読んでまず感じたのは,ファン元書記がきわめて頭脳明晰な方であるということである。以下,著書から長くなるが引用したい。「」が引用箇所になる。

 

「北朝鮮は思想の国である。北朝鮮体制を支えている最大の支柱は思想である。この思想的支柱が動揺するようになれば,北朝鮮は一日とて持ちこたえることができない」

 

「北朝鮮の指導思想は,すなわち首領絶対主義思想と見ることができる。首領絶対主義思想は,一言で言って,首領が人民大衆の生命の中心であり,父であり,革命と建設の目的は,首領の思想を実生活に具現することにあり,人民の生きる目的は,首領に忠誠と孝心を尽くすことにあるという思想である」(とりあえず引用ここまで)

 

元書記は,金正恩体制になる前に死去しているが,著書によると,統治者が金日成から金正日に代わっても,政策上の変化はなかったという。人は代わったが,それによって北朝鮮の根本的な指導思想が変わったわけではないからである。この点を強調すれば,金正日から息子の金正恩に統治者が代わっても同じことがいえるだろう。

 

米国が画策する金正恩だけをターゲットにした斬首作戦が仮に功を奏しても根本的な解決には至らないということである。金正恩亡き後に,米国の傀儡となりうる金一族の者を後釜に据えるというプランも考えられているようだが,中国はともかく,ロシアが許さないと思われる。

 

さらに,著書を引用すると,

 

「国防委員会を押し立て,軍事独裁を強化すればするほど,北朝鮮の経済は犠牲になり,経済発展の可能性は一層なくなるようになる。経済破綻がいっそう深化すれば,政治と軍事も滅びざるをえない。」

 

「軍需工業も麻痺し,軍に対する軍需物資の供給もいっそう悪化するであろうし,一般大衆のみならず,軍隊の中での不満も抑えることができなくなるであろう。」

 

「ここに首領絶対主義の迷信を暴露する思想攻勢の矢が貫くなら,大言壮語していた北朝鮮統治体制が一朝にして崩れるであろうことは疑う余地がない」(引用終了))

 

要するに,今の日米の対応では北朝鮮の政策は変わらないということである。ファン元書記によると,思想は強制的な方法では変わらないという。人民に「思想攻勢の矢」を放て,と元書記は述べているが,それを具体的にどのように行うべきか。

 

いや,そもそも北朝鮮人民が思想改革を望んでいるのかどうかが問題にされるべきではないだろうか。

 

思想攻勢の矢をどのように放つかどうかの議論の前に,北朝鮮の多くの方が現体制をどのように考えているのかを日米を含めた国際社会は知る必要がある。だが,それを知るには,情報があまりにも少なすぎるのが現状である。

 

いや,そもそも今の我々日本人が,「人間が幸福に生きるとはどういうことなのか」を真剣に考え抜いてから語るべきことなのではないだろうか。他国,他人の価値観をとやかく言う前に足元を見つめ直すことの方が今の我々には先決かもしれない。





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