中東情勢も地獄だが狂気の岸田政権が続くのも地獄である
2023年11月5日
11月5日現在、継続中のハマス対イスラエルの大規模な戦闘は、10月7日のハマスの奇襲攻撃から始まった(とされている)。
ハマスの奇襲は、イスラエルとサウジの国交正常化を阻止することにあるというのが大方の識者の見方となっている。
確かに、イスラエルの過剰な反撃行為にサウジが懸念を表明し、両者の正常化交渉は中断した。
だが、このストーリーは、直線的かつ単純すぎる。
イスラエルは、日本の大企業も多数進出している世界屈指の技術大国だが、
このIT大国、さらに言い換えれば、モサドが暗躍するこのスパイ大国は、ガザ地区の制空権をも支配している。
この軍事超大国が、一武装組織でしかないハマスの奇襲作戦(ロケット弾数千発発射)を事前に察知できなかったとは考えにくい。
ハマスが攻撃開始前に、イスラエルの通信・レーダー施設などを破壊して防空システムをマヒさせていたというのなら話は別である。
だが、一武装組織にそこまでの人的・物的能力があるとは到底思えない。
今年5月、イエメンの武装組織フーシー派が、パレスチナ戦闘員を5千人募集して訓練していたことが明らかになっている。
フーシー派は、周知の通り、イランが後ろ盾になっている。
そのフーシー派は、10月31日、イスラエルに向けて、ドローンと弾道ミサイルを発射し、イスラエルに宣戦布告した。
ロイター通信によると、フーシ派の軍事報道官は、テレビ放送された声明で、パレスチナ自治区ガザに対する「イスラエルの侵略」が終わるまで作戦を継続すると述べたという。
その3日後、申し合わせていたかのように、今度はレバノン南部に拠点を置く武装組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師が吠えた、
「イラク国内のイスラム教シーア派やヒズボラなどと協働して、参戦する用意がある」と。(この翌日に攻撃を始めたと報道されている)
ちなみに、イスラエルとハマスの戦闘が始まってから、ナスララ師が公式に演説を行ったのはこの日が初めてである。
周知の通り、ヒズボラもイランが後ろ盾となっている。
ところで、イスラエルの最大の支援国である米国が、イスラエルに一時「休戦」するよう提案している。
11月5日現在、イスラエルは、一部の部隊が地上戦に着手したが、世界の国の大半は、イスラエルはもとより、後ろ盾の米国に非難の矛先を向けている。
今回のハマスの奇襲作戦が、イランの仕掛けた計略だったとすれば、術中にはまっているのは米国である。
イランは、今回の大規模戦闘に関与していないことを再三強調しているが、それはありえない。
イスラエルとサウジの国交正常化は、イスラエルがサウジ領空を通過してイランに直接ミサイル攻撃ができるようになることを意味する。
イランとしては、それだけは避けたいという思惑があるはずである。
そもそもハマス、ヒズボラ、フーシー派といった小規模武装組織が、大国イランの後ろ盾なしに強気に出られるはずもない。
イラン外相のアミールアブドッラーヒヤーンが、カタール、トルコと相次いで訪問し、
タミム首長、エルドアン大統領と会談するなど、「事情説明」に奔走しているが、
ここから次のようなことが言える。
今年3月、サウジはイランと国交を正常化した。ほとんど腹の探り合いのような八百長だが、表向きの関係修復はとりあえずなされた(ている)と見てよいだろう。
そのサウジは、イスラエルに「パレスチナを1967年の第三次中東戦争以前に戻せ」と要求しているが、
この提案をイスラエルが呑めるはずがない。サウジもそれを承知の上で、無理難題を吹っかけているものと思われる。
つまり、サウジは、イランに忖度して、イスラエルと本気で国交正常化をしようとは思っていないのではないか。
イランがそのことを察知していたとすれば、サウジとイスラエルの国交正常化交渉をそもそも妨害する必要はなかったともいえそうだが、
そうではなく、イランの目的が中東地域における米国のプレゼンス低下にあると考えれば、一連の行動は理解できる。
周辺諸国への「事情説明」もイランは怠っていないということである。
周辺諸国に十分な根回しをしないまま、処理水を海洋投棄している日本の外交とは大人と子供ほどに対応の差がある。
その日本は、10月27日の国連総会で「人道的休戦」決議に賛成票を投じなかった。
投票の「棄権」は現状追認を意味する。すなわち、日本は、イスラエル、米国同様に、戦闘継続を望んでいるということである。
休戦決議に賛成しなかった理由について、岸田首相は10月30日の衆院予算委員会で、
「ハマスのテロ攻撃への強い非難がないなど、全体として内容面でバランスを欠いている」と言い訳していたが、理由になっていない。
議題は「戦闘行為をとりあえず止めろ」である。これに賛成か反対かと問われているだけなのに、何の屁理屈を抜かしているのか。
「ハマスへの強い非難」は、それはそれとして別のテーマとして意見すればよいではないか。
それとも「戦闘継続を追認するのが本音です」とでも表明したいということなのか。
イスラエルのネタニヤフに「必勝しゃもじ」を送る準備でもしているとでもいうのなら、これ以上何も言うことはない。だが、そうではないはずである。
10月の大規模戦闘開始当初、岸田政権は早速ハマスを非難し、米国に追従してイスラエルを擁護した。
ところが、その後、イスラエルが防衛の程度を超えた大規模反撃を行い、ガザに多数の死者が出たことで、「中立」の立場にトーンダウンした。
11月3日にイスラエルを訪問した上川陽子外相は、イスラエルとパレスチナ自治政府の両外相と会談し、
上川は、人道支援として日本円にして100億円の供与を約束した。
だが、今の日本の立ち位置でいえば、
この行動は「イスラエルとハマスの皆さん、戦争はこのまま続けてください。被害は日本が補償しますので安心してください」
と言っているようなものである。
違うと言うのなら、上川は、国民の税金を使ってイスラエルまで出張っているのだから、「戦闘を休止しろ」と言わない(岸田とは別の)理由を示してほしい。
それを言わずに、相手に頼まれてもいないカネを差し出すことの方がよほどバランスが悪い。
そもそも、バランスがどうのだの岸田政権に言う資格はない。
中東の戦闘支援に100億円の大金を即金でポンと出せるのに、
たかが年間4万円の所得減税の実施に、国民に来年6月まで待てと言う方がよほどバランスが悪い。(遅いし、期間は1年と短いし、金額は低いしで話にならない)
物価高に引き続き、実質賃金が17カ月連続マイナスが続いているのに、
自分(岸田)の給与を年46万円(ボーナス込み)、大臣は年32万円をアップさせるための法改正をしようとしていることの方がよほどバランスが悪い。
本ブログでは、首相就任当初から岸田を批判しているが、ここまで狂気を帯びているとは思わなかった。
一刻も早く、この極悪の首領を倒さねば、日本の社会状況はますます悪化していくだろう。
ここはもう少し野党第1党にがんばってほしいところだが、その第1党の党首は
11月4日、東京都内の大学の講演で
「次期衆院選での政権交代は目指さない」
「5年で政権交代を目指す」
と述べた。
この男も正気の沙汰ではない。
岸田と同レベルでこの男にも絶望する。
そもそもこの男、この党に5年後はない。あってはならない。
ふがいない自公政権に今ガチンコで対峙しなければならないはずの最大野党がこの気概のなさ、体たらくである。
戦闘状態の中東ほどではないが、今の日本社会は十分地獄の渦中にいる。
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