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秋本真利議員を陥れた黒幕の存在を2点推理する 

2023年8月13日


自民党の秋本真利議員が、風力発電会社の「日本風力開発」から3000万円もの資金提供を受けたとされる贈収賄事件で、11日、会社社長が贈賄を認めた。

本ブログを書いている13日午後の時点では、秋本側のリアクションはまだないようだが、今後しばらくは収賄容疑を否定する方向で行動していくものと思われる。

会社社長が賄賂として金銭を供与し、秋本がこれを収受したとしても、秋本に賄賂の認識(故意)がなければ収賄罪は成立しない。

秋本側の主張はおそらくこの1点に尽きるのではないかと思われる。

秋本はすでに政務官を辞任し、自民党も離党しているが、結論から言うと、、

秋本は会社社長の裏切りにあったか、官邸の策謀にはまったか、のいずれかによって陥れられたと推測する。

まず、会社社長の裏切り説から。

テレビ、新聞の全メディアは、横並びで「関係者」なる証人の話として事実関係を伝えているが、

この「関係者」とは一体何者だろうか。

メディアが言う「関係者」の話によると、秋本は会社社長に「馬を買いたいので金を出してほしい」などと携帯電話のショートメールで連絡し、

要望したルール改定が正式に決まった翌日に、会社社長の「関係者」から議員会館で1千万円を受け取ったという。

だが、一般論として、そもそもメールの内容を第三者に見せるものだろうか。

会社社長が第三者の「関係者」なる者にメールをみせていたとのストーリーには違和感がある。

みせていたとしたら、よほど秋本が信頼を置く「関係者」なのだろう。

だが、信頼の置ける「関係者」など、世の中そう何人もいるものではない。

で、あれば、議員会館に出向いて、秋本にカネを渡した「関係者」もおそらく同一人物だと思われる。

この「関係者」は秘密裏に行動していたはずであり、秋本も議員会館でカネを受け取った際、周りには誰もおらず、他に事情を知る者はいないと思われる。

そうであれば、メールの内容や現金の授受など、その「関係者」しか知りえない情報が外部に漏れたということになる。

つまり、この「関係者」は会社社長その人ではないだろうか。

要するに、何らかの原因で両者の関係がこじれ、会社社長が当局にタレこんだ、ということである。

以上が「会社社長の裏切り説」の概要になる。

次に「官邸謀略説」である。

秋本の脇が甘かったとはいえ、「大規模な」許認可事業はすべて利権が絡んでいるといってもよく、政治家の利益誘導のない案件を探す方が難しい。

加計学園問題のように、お友達案件だと賄賂の構図を証明するのが難しくなるが、(お友達だと金品供与がない可能性もあるので)

大抵の案件は、そこに政治家とカネの問題が絡んでいると考えてよい。

秋本の受け取ったカネは3千万円とのことだが、(注:6千万との報道もある)この金額だと「馬主組合への出資金だと認識していた」との言い訳は通用する余地があるように思う。

秋本が実際このような言い訳で今後容疑を否定していくかどうかは私の憶測でしかないが、いずれにせよ、原発利権のような極悪な事件とは程遠い。

ところで、検察のストーリーは次のようなものだろう。

「秋本は特定企業が有利になるような国会質問をして、質問通りにルールが改定された見返りに、企業側から金銭を授受した。だから収賄罪が成立する」と。

だが、大臣経験もない一議員の「質問」など、ただの質問、意見の表明であり、政府がその意向に沿うよう履行する義務もないことは言うまでもない。

ただの「一議員の質問権行使」を賄賂罪の「職務権限」にあたると解釈するのは無理がある。

そもそも一議員の質問(提案)で、国の(公募)ルールが、ホイホイ変えられるはずもない。しかも、そのルール変更によって、他の企業に不利益が及ぶことを承知しておきながら、である。

秋本の質問に対し、当時経産相の萩生田光一が「ご提案をよく踏まえて検討してみたい」と答弁している。

むしろ、ここでルール改定の取引(契約)が成立したと解釈するのが筋ではないか。

萩生田の意向を受けて、翌月、国はルール改定の議論を開始し、同年10月。改定が正式に決まった、と。

職務権限は秋本にではなく、所轄官庁のトップの萩生田にあると見るのが素直な解釈である。

萩生田とは出来レースだったのか、萩生田にも金銭の授受等があったかどうかはともかく、秋本が今後収賄罪で立件された場合、萩生田の政治的責任が厳しく問われなければおかしい。

萩生田は、加計問題でも安倍のパシリになって、似たような役割を演じていたが、この手の役回り(役所への圧力)は彼の得意なのだろう。

萩生田は、統一教会との関係が依然つながっていると噂される一方で、菅義偉の紹介で、創価学会の幹部らと密かに会っているといわれている。

萩生田は、調子のいい八方美人の典型のような男で、そもそも国を背負って活動するに値するような人間ではない。

次の選挙で統一教会票、公明票を失い、さらに無党派層の半分が離反すれば、この腐敗議員は落選するだろう。

私は彼の選挙区の隣に住んでいるが、有権者らも徐々に奴の胡散臭さに気付き始めており(気付くのが遅いと思うのだが)、野党の候補者次第で落選は十分あると予測する。

ところで、5日の読売新聞によると、秋本は、かつて菅義偉の威光をかさにきて官僚に権力を振りかざしていたという。

秋本の指示に対し「官僚が『出来ません』などと言うと、『菅官房長官に言うぞ』と権力を振りかざしていた」と国交省幹部が証言している。

菅義偉は首相在任中に「2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」目標を掲げており、再エネ議連の顧問には、河野太郎、甘利明らが就いている。

甘利はともかく、官邸の原発ムラにとって、菅、河野は邪魔な存在でしかない。

政府は20年度に1パーセント未満だった洋上風力の発電能力を、40年度には4500万キロワットまで増やす目標を掲げている。

だが、それは建前であって、官邸に実はその気はない。

「エネルギーは原発があれば十分。再エネなど不要」というのが日本政府の本音である。

だが、G7にも名を連ねている自称先進国の日本が、世界の潮流に逆らうわけにもいかない。

だから建前でも再エネに関わることになる。18年にはそのための新法(再エネ海域利用法)も成立させた。

政府が目標とする発電量4500万キロワットは、原発47基分のエネルギーに相当する。

洋上風力発電と併せて太陽光発電が普及すれば、地震大国、人口減の日本で今後原発など不要という議論が沸きあがるのは自明の理であろう。

だが、それでは原発族が困る。だから、再エネ族議員を好き勝手にさせておくわけにはいかない。

太陽光発電に力を入れていた「政界のフィクサー」こと矢島義也率いる「大樹総研」にガサ入れが入ったこと、三浦瑠璃の夫が業務上横領罪で逮捕、起訴されたのは、

再エネ側の菅義偉と二階俊博の力が落ちていることと無縁の出来事ではない。

そもそも菅、二階は再エネ普及に信念を抱いているわけではない。彼らの関心はもっぱら利権である。

そこに利権があるから群がっているだけである。利権が薄いとなれば、彼らが再エネから今後手を引いても全く驚きはない。

いずれにせよ、官邸から見れば、反主流の菅や政敵の河野を叩き落すのに、再エネ利権を持ち出すのは、現状好都合である。

大局的に見れば、秋本はある意味政争の犠牲者と言ってもよいかもしれない。

検察にとっても秋本案件は渡りに船だといえる。

検察(東京地検)の本丸は、先に挙げた「大樹総研」の矢島義也の逮捕だったが、今は頓挫しかけている。

そこに今回の秋本案件が降って沸いてきたのである。(情報通によると、矢島は連日ゴルフ三昧で余裕の日々を送っているとのことである)

秋本案件は検察の威信をかけた、国民の検察不信の汚名返上を挽回する絶好の素材として利用価値がある。

日本のエネルギー問題は今後どうあるべきか、などといった関心が検察にあるはずもなく、官邸にもそのような崇高な理想を掲げて活動している者など誰もいない。

皆の衆が自分のことだけ、目先の利益を求めることだけを考えて生きている。

ここ数週間、文春砲で火だるまになっている木原副官房長官は、落選中の2009年から3年間、「営業マン」として大樹総研に努めていた過去がある。

では、その木原が再エネ族かと言われれば、そういうわけではない。

原発ムラの住人でもないが、岸田の懐刀と言われる官邸の中心人物が原発推進に後ろ向きであろうはずがない(2年前のNHKアンケートでは原発依存度を下げるべきとの回答をしていたが、もちろん建前である)

この男も目先の利益を求めて。フラフラしているだけである。

ところで、今回の秋本の件で再エネが国民にマイナスイメージを与えているところがあるが、エネルギー問題と賄賂の問題は全く切り離して考えるべきだろう。

そもそも再エネ利権など原発利権に比べれは金額も屁のようなものであり、背景も原発のようなドス黒さはまだない。

次回機会があれば、この点を書きたいと思う。



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