官(岸田首相)も民(ビッグモーター)も問題の根は結局同じところにある
2023年7月30日
ビッグモーター問題について釈然としない意見が拡散しているが、中でも代表的な意見について異議を指摘したい。
実業家のひろゆき氏の動画から。
氏は「(ビッグモーターは)ブラックだけど法律に触れていない」と述べているが、これは正しいだろうか。ブラック企業について、厚労省は定義していないが、
ブラック企業とは、長時間労働など、最低基準の労基法すら守っていない遺法企業、あるいはパラハラの横行など、社内コンプライアンスの欠片もない遺法まがいの企業を指すと一般的に解釈してよいだろう。
だが、ビッグモーター問題では、LINEによる脅迫まがいの言辞や強権的な人事の発令などを複数の現役社員がメディアに告発しており、
にもかかわらず、事情を知らない外野が「法律に触れていない」とまで言い切るべきではない。
続けて、氏は、
「多分、あの会社の創業者の人は逃げ切れるんですよ。結局、上場企業でもないので今まで儲かってたものを損害賠償で支払えという判決をどこぞからもらうということもないので、多分勝ち逃げなんですよね」と述べているが、
これが「創業者一族が私財を投入して、丸裸にされてしまうほどの莫大な賠償責任を負うことにはならない」との主旨で述べたのだとすれば、確かにそうかもしれない。
だが、法的に言えば、前社長は、会社法429条の任務懈怠責任による賠償責任を負わされる可能性があり、
そうなれば個人財産からの出資を余儀なくされることになるので、現時点の法的見識としては正当性を欠くと言わざるを得ない。
ただ、グルと揶揄されている損保ジャパンは、たとえ裁判で勝訴しても重過失ありで賠償額が大幅に減殺される可能性が高く、
また、顧客への賠償金も億単位にはならないと思われるので、結果的に氏の見識通りにはなるかもしれない。
さらに氏は、店舗前の街路樹に除草剤が撒かれている問題について、「賠償金を数十万円支払って終わり」と述べているが、これも極論である。
周辺住民が除草剤の散布による実害や精神的苦痛を理由に集団訴訟を起こして会社が敗訴した場合は数十万円では済まなくなるからである。
これが米国なら、企業に対する懲罰的賠償で数十億円以上の賠償金が課されるだろう。これだけ話題となっている事件であれば、国民の制裁感情も考慮されるので、厳しい判決が出る可能性が高いということである。
さらに、除草剤の使用は、農薬取締法により、3年以下の懲役、あるいは100万円以下の罰金、場合によっては両方が科せられることになる。
除草剤使用について会社はすでに認めて謝罪しているので、店長や社員らが懲役をくらうことはないだろうが、会社には罰金が科されるだろう。
刑事罰の話で言えば、各社員は、器物損壊(懲役3年以下)の正犯、それを指示した店長や前副社長の息子らには教唆犯が成立することになる。保険金請求問題については、
併せて彼らに詐欺罪(懲役10年以下)が成立することになる。(当局が乗り出せば、だが)
以上、総合的に考えると、創業者一族(父親と息子)が簡単に逃げ切って終わり、という単純な事案ではないということがわかる。
進行形で問題になっている事件について意見を述べるときは、慎重になるべきである。今回は端的に指摘するにとどめるが、たとえば、木原誠二官房副長官の妻の前夫が死亡した事件で、
当時捜査に当たったという警視庁捜査一課の元捜査員が記者会見で、
「(自殺ではなく)事件性はあった」「自殺でないという証拠はない」「殺人があったという証拠もない」と意見を並べているが、これも釈然としない。
事件性の有無は、カンや経験則(一応マニュアルはあるが)で俯瞰的に判断されることがらであり、証拠の有無を厳密に調べて結論付けるわけではない。
つまり、事件性があるのではとの大まかな判断があって、それから徹底的な捜査が行われるのである。証拠の有無など、本格的に捜査してみなければそもそもわからないことがらである。
元捜査員の発言によると、証拠の有無まで調べて当局が最終的に「事件性なし」と判断したということになるが、これは理屈として無理がある。
故に、彼の「これこれの証拠はない」との発言箇所は、彼独自の意見、言い回しであって、深い意味はないと解釈されるべきだろう。
創業者一族の行方に話を戻すが、今回の一連の問題の原因は、父親の前社長ではなく、前副社長だった息子にあるとの見方が大勢を占める。
すなわち、父親は息子のとんでもない経営姿勢を知りながら長年放置し、結果、会社に回復不能のダメージを与えてしまった、と。
民間車検場の指定取り消しや、事業停止などの処分が下るのは確実なので、この会社はもうアウトだろう、と。
バカ息子のせいで田舎の同族会社の一つや二つがつぶれたところで、我々からみれはどうでもいい話だが、
これを政治の場面の場面の話に置き換えると、どうでもいい話で済まされる問題ではなくなる。
バカ息子に多額の血税を投入して権力を私物化するような総理大臣を国民が放置してよいはずがないではないか。
ところで、国民の幸福を何も考えず、自分と身内が生き残ることしか考えない無能総理の直近の重要な政治日程といえば、
8月18日に米国の首都ワシントン郊外のキャンプ・デービッド山荘で行われる日米韓首脳会談である。
この会談の背景について少し述べておきたい。
バイデンが同地に外国の首脳を招くのは、政権発足以来今回が初めてとなる。
この会談に向けて米国側はかなり気合が入っており、
岸田、尹錫悦大統領を招いての会談(と言うか、命令)は、米国にとって思惑通りの成果が得られるだろう。
7月14日、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長の来日に続いて、25日、マイケル・М・ギルデイ米海軍作戦部長が来日し、官邸で岸田と会談した。
日本では「部長」という肩書で報道されているが、これはチーフの誤訳で、正しくは「米海軍トップ」と表記されるべきである。
彼らの来日の目的は防衛計画の再確認である。バイデン政権の意向を受けて軍トップが相次いで来日し、岸田に直接対面で圧をかけにきたということである。
なお、ミリーは、日本訪問後、韓国も訪問予定であるとロイター通信が伝えていた。
米国は、日本と韓国に対し、多少敵対しながらも、過度に憎しみを持つことなく、連携して中ロ問題に対応していくことを求めている。
1952年1月,韓国の李承晩大統領は、敗戦国日本が主権を回復する前のどさくさに紛れて、国際法違反の国境線を設定した。(いわゆる李承晩ライン)
これにより、韓国は、広大な水域への漁業管轄権を一方的に主張するとともに,そのライン内に竹島を取り込んだ。
この韓国の行動に主権を回復する前の日本は何も言うことができず、米国も抗議のポーズをとるだけで、事実上、韓国の国際法違反を追認した。
この李承晩ラインは、日韓が未来永劫対立するように米国が仕組んだ策略であるというのが外交専門家らの一致した見方である。
とはいえ、対中露の問題があるので、地政学上、過度の対立まで米国は望んでいない。
竹島問題がある限り、日韓が今後もズブズブになることはないが、現在の尹錫悦大統領は親日である。この適度な距離間の日韓関係は、米国にとっては非常に都合がよいといえる。
我が国の世襲首相はというと、国民の利益を度外視して、米国の要求する無理難題にただひれ伏すのみなので、今回の日米韓首脳会談ほど米国の思惑通りに事が運ぶことはないと思われる。
韓国はともかく、岸田の米国に対する隷従の代償は、今後日本国民への大増税、監視に跳ね返ってくることになる。
防衛費支出のためのサラリーマン増税など、政府の政策に反抗的な国民はマイナンバー情報で監視し、将来的には中国のように「格付け」リストが作られることになるだろう。
ところで、マイナンバーカードと保険証の紐づけは、本ブログの予測していた通り、次回衆院選が終わるまでは凍結される公算が高くなってきた。
河野太郎が、現行の保険証を来年秋に廃止する方法性に変わりはないことを強調しているが、河野発言は今後撤回に追い込まれることになるだろう。
その衆院解散の時期だが、今年9月はとてもできる状況ではない。私は、年内解散はない、と断言したい。
かといって、来年秋に向けた政権浮揚の具が今後あるかといえばそれも見当たらない。
唯一ありうるのが、本ブログがこれまで何度も書いてきたように、金正恩総書記とのトップ会談の実現である。
1人でもいいから拉致被害者を帰国させることに成功すれば、支持率のV字回復などちょろいとの算段が岸田にはあるものと思われる。
だが、彼が今後何をやろうがだまされてはならない。
権力に酔いしれ、身内に甘く、国民に厳しい人間に国のトップの資質など、そもそも全くない。
何度でも書く。このような権力者を放置しておけば、最後に不利益を蒙るのは、彼や彼の身内ではなく、我々大多数国民だけであることを常に肝に銘じておかなければならない。
冒頭のひろゆき氏ではないが、今後ビッグモーターがつぶれた場合、社員が路頭に迷うことはあっても、最高権力者(前社長)とその息子が打撃を受けることはないだろう。
岸田一派と国民の関係もビッグモーターと同じである。
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