fc2ブログ

岸田首相を罵倒するときは小沢一郎も気をつけるべきである 

2023年7月23日


ジャーナリストの山口敬之が、れいわ新選組共同代表の大石晃子議員を相手に起こした名誉棄損訴訟で、

7月18日、東京地裁は大石にツイートの一部削除と22万円の支払いを命じたが、

私が大石なら控訴するだろう。大石のツイートの核心は以下の通り。

「伊藤詩織さんに対して計画的な強姦を行った」「1億円超のスラップ訴訟を伊藤さんに仕掛けた、とことんまで人を暴力で屈服させようとする思い上がったクソ野郎」(ここまで)

地裁は、大石がつぶやいたのは概ね「事実」だが、「クソ野郎」が人格攻撃にあたると認定したようである。

だが、この地裁の判断は納得がいかない。

「クソ野郎」がダメなら「強姦野郎」とつぶやいたらどうなのか。

これだと「事実の摘示」になるので、少なくとも単なる「人格攻撃」にはあたらないと解釈するのだろうか。

1978年2月の国会で、自民党の浜田幸一が社会党の安宅常彦を「強姦野郎」と野次ったが、

この件は、安宅が事実を半分認めたような形で事態が沈静化し、結果、浜田は何の処分も受けなかった。

摘示された具体的事実を本人が認めるか、本人が認めなくても客観的にそれを証明されれば、名誉棄損に当たらないというのは、国会内の発言であろうが、ネット上であろうと同じでなくてはならない。

私が大石なら、山口の強姦の疑惑を認めた2022年高裁判決(同年7月最高裁は山口の上告を棄却)を控訴審に再度確認させたうえで、

判決理由に示された山口の鬼畜の所業は、山口が「クソ野郎」に値する人間である、と争うか、もしくは、

ツイート内容を全体的に考察すれば「クソ野郎」は「強姦野郎」と同義の具体的文脈で解釈されるべきであり、故に単なる人格攻撃とは一線を画す、と争う。

さらにいえば、山口は著名なジャーナリストであり、対抗言論の理論で争える立場にいるので、(対抗言論の理論とは、被害者は自らネット上で反論、対抗することで名誉を回復すべきであるという考え方)

原状回復の手段は一般人に比べて容易だといえ、大石のツイートはそもそも違法性が阻却される、と争うだろう。

だが、米国の陪審裁判ならともかく、日本の裁判官にはこれらの主張は通らないかもしれない。

結論は、大石は「クソ野郎」ではなく、「強姦野郎」とツイートすべきだった、ということである。

私は政治家や社会に影響を与えるようなインフルエンサー的立場にいる者に対する一般人による人格攻撃は、条件付きで許されると考えている。

条件とは、人格攻撃の前提となる基礎事実と理由を明確に摘示することである。

基礎事実の資料として元ネタの記事のリンクを貼りつけてツイートしている者が多いが、批判する場合はそれだけでは根拠薄弱の場合がある。

そのときは、自分の言葉で説明を追加しなければならないが、それをやると文が長くなり、ツイッターになじまない。

私がツイッターをやらない理由がここにある。思いついたまま、論理明快に短文で情報発信する能力が私にはない。だから長文でブログを書いている。

だが、能力に自信がある者でも、時事問題、特に国際情勢について思いつきでツイートする場合は、初期の情報は信用希薄なものが多いので、慎重になる必要がある。

日本のメディアが発信する国際情勢は、西側発信の一方的な情報を検証もせずに垂れ流しているものが多いので、初期情報と後に出てくるさまざまな媒体からの情報との間に乖離していることが多い。

今回の本題から少し話題がズレるが、この点についてもう少し言及しておきたい。

たとえば、6月6日に起こったウクライナ南部にあるロシア支配下のカホフカ・ダムの爆破事件。

この事件当初、地域の水不足とザポリージャ原子力発電所への影響などが懸念された。

ウクライナとロシア双方が非難合戦を始めたが、日本のメディアはみなロシア=悪の論調なので、ツイッターも報道の影響を受けてか、ロシアの仕業であることを前提に意見を発信している者が多かった。

私も当初はロシアを疑った。ロシアがやったとすればワグネルの可能性が高いだろうと。

ダムや原発への攻撃はジュネーブ条約違反であり、そもそも許されない。だから、ロシア正規軍があからさまな条約違反行動を起こすようなことはないだろうが、ワグネルは正規軍ではない。

ロシアの法律では民間の傭兵は認められておらず、プーチンは先日のワグネル反乱まで、そもそもワグネルの存在自体を否定してきたほどである。

そのワグネルが勝手にやったことにしてしまえば、プーチンはロシア政府に責任はないと言い逃れをすることができる、と。

当初私は直感的にそう考えた。ところが、後日さまざまな報道を接して、その直感は違うのではと思い始めた。

米シンクタンク・ジェームズタウン財団によると、ダム決壊でクリミア半島北部では今後何年も水不足にあえぐことになるという。

2014年のロシアによるクリミア併合で、ウクライナは北クリミア運河経由のクリミアへの給水を制限したが、

ロシアは昨年2月のウクライナ侵攻後、カホフカ・ダム周辺地域を支配下に置き、運河を経由してクリミア半島に淡水が豊富に供給されるようにしていた、という。

何を言いたいかと言うと、クリミアは周知のように、ロシア系住民が60パーセントを占めており、ウクライナのゼレンスキーはクリミア奪還を至上命題に据えている。

この文脈で考えれば、ロシアがクリミア住民を今後長年苦しめるような自作自演の破壊活動をあえて行うとは思えなくなったのである。

むしろ、ウクライナが反ロシア感情をクリミア住民に植えつける目的で事を起こした可能性のほうが高いのでは、との疑問が沸いてくる。

案の定、この疑問、というか疑念はその後にウクライナが起こす破壊活動によって確信に変わっていく。

7月17日、ウクライナがドローンを使ってウクライナ南部のクリミア半島とロシアを結ぶケルチ橋を爆破したことを認めた。この橋はロシアにとって重要な補給ルートである。

ウクライナ政府は、昨年10月のケルチ橋爆破にも関与していたことを暗に認めている。これも事件当初は、ロシアの関与が噂されていた。

20日、ウクライナ軍は、南東部の前線で米国供与のクラスター(集束)弾の使用を始めた。

クラスター弾は、民間人を無差別に殺傷する危険がある戦争兵器である。禁止条約に署名の有無以前の問題として、道義上推奨できない殺人兵器だといえる。

22日、ウクライナ軍はクリミアの弾薬庫と石油施設を攻撃したことをSNSに投稿した。

この活動の流れから推察するに、条約違反のダム破壊活動の犯人もロシアではなく、ウクライナの方が疑わしいと考えるべきである。

ところで、昨年末、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は、米国のウクライナ戦線への関与縮小を示唆していた。

ミリー発言は、それまでイケイケだったゼレンスキーの気勢を削いだかに見えた。本ブログも昨年末、南東部の大規模な戦闘は今後減っていくだろう、と予測した。

ところが今年に入ると、米国は方針を転換したのか、関与の度合いをますます強めるようになってきている。

このような情勢の中、7月14日、ミリーが来日。官邸で岸田首相と懇談した。

7月4日、政府はウクライナを「特別なパートナーシップ」に格上げし、必要があればウクライナに武器輸出を積極的に行う旨すでに表明していた。

その10日後に米軍制服組トップの男が来日である。岸田に何を伝言したかは明白だろう。殺傷能力の高い武器の輸出奨励を促したことは言うまでもない。

9月末に退任するミリーの後任には、チャールズ・ブラウン空軍参謀総長が就く予定となっている。

戦場での経験が豊富で、映画「トップガン」に出てくる、文字通りトップの立場に位置するバリバリの軍人である。

この男の就任でウクライナ戦線が拡大することはあっても、縮小は考えにくい。

考えてみれば、バイデン大統領は軍産複合体の代理人であり、かつ、ウクライナ利
権にズブズブにはまっている人間である。

戦線への関与縮小など米国世論が強固に反対でもしなければ、そもそもありえないと当初から考えるべきであった。

松野官房長官は、米国によるウクライナへのクラスター供与を肯定的に評価したが、

日本がやるべきことはウクライナに武器を輸出したり、米国の戦争行為拡大路線に隷従することではない。

一応平和国家の日本がやるべきことは2つ。1つは、クリミアの問題は置くとして、ウクライナにミンスク合意を確実に履行するよう提案することだが、

ロシア=悪の図式を米国から指令されている建前上、それを岸田政権に要求するのは無理かもしれない。

では、2つ目として、休戦協定を提案するというのはどうか。

即ち、東南部の自治やクリミアの領土問題の核心的対立をやはり棚上げにして、休戦を維持するためだけの仕組みを作るよう提案することである。

これは机上の空論ではない。1953年の朝鮮戦争後に休戦協定を結んだ北朝鮮と韓国が好例ではないか。

北朝鮮は朝鮮半島全体を自国の領土であると未だに主張しており、紛争状態は棚上げにされたままになっているが、とりあえず停戦の約束は守られている。

私はこの休戦協定を結ぶ以外にとりあえず紛争を止める方法はないと考えている。

と、いろいろ提案しても、今の岸田政権には何を言っても聞く耳を持たないだろう。

消費者物価指数は22カ月上昇、実質賃金は14カ月減少、10月までに値上げを予定する食品が計3万9品目というこのご時世に、

政策提言組織「令和国民会議(令和臨調)」の会合で何を口開いたかと言えば、

「時代は大きく変化している。国会の運び方やありようも変わらなければならない」である。

「批判だけではなく、国民に分かりやすい形で選択肢を示していくことが大事」などと野党をけん制するような場違いの発言もしていたようである。

これに対して、小沢一郎が22日、ツイッターで、岸田に対して「完全な馬鹿」とつぶやいた。

小沢は「馬鹿」の理由を短文で示してはいるが、先の大石の例もあるので、訴えられたら賠償責任が発生する可能性もなくはない。

そうなれば、野党共闘に暗躍している場合ではなくなる。岸田政権には木原のように、名誉棄損で刑事告訴してくるようなクソ野郎もいるので、気をつけた方がよいだろう。



スポンサーサイト



0 Comments

Leave a comment