fc2ブログ

秋の臨時国会で解散総選挙なら岸田政権浮揚の具はゼロとはいえない 

2023年6月11日



広島サミット→支持率上昇→6月解散→7月総選挙は規定路線かと思われていたが、ここにきて岸田長男醜聞の文春砲が炸裂し、支持率が低下、

加えて、候補者調整に端を発した自公の協力体制の問題噴出、さらに国会会期末の21日には天皇皇后両陛下が国内不在で、解散詔書への天皇の署名と押印を得ることが不可能になったこと、などなどから、

岸田首相が6月解散を見送る可能性も出てきた。

6月解散がないとなれば、考えられるのは秋の臨時国会で補正予算を成立させた後だろう。併せて内閣改造も考えられる。

自民党の最大の政策目標は改憲だが、その際キーになるのが維新である。

私が維新側の人間なら、秋の解散ではなく、ボロが出る前に、勢いのある今すぐに選挙をやってほしいと考えるだろう。

私が馬場代表の立場なら、選挙後の自民への改憲協力を条件に早期の解散総選挙をプッシュする。

維新と良好な関係にある国民民主の玉木代表は、天皇皇后両陛下が離日する前、たとえば15日の解散もありうるとの見立てを示しており、6月解散の可能性はまだ残されていると考えた方がいいだろう。

ところで、維新の馬場だが、6月7日の党会合で、

「立憲民主党をまず、たたき潰す」
「本当に国家国民のために、この方々は必要なのか」と述べた。

立憲民主の支持率が上がらないのは語気の弱さに原因があると本ブログでは4年前から指摘しているが、その悪癖は泉体制になっても全く変わっていない。

誰も彼もが暴言を吐くべきだと言っているのではない。

国会議員の誰しもが馬場のような物言いをする必要はないし、自民の二階敏博のように、「(彼がコロナで死んだとツィートした者を)叩き殺す」と過激な言葉を発する必要もない。

皆が皆、れいわ新撰組の山本代表のように国会内でダイブする必要はないし、
ハマコーのように野党議員に対して「強姦野郎」と口激する必要もない。

だが、国民の目をまず政治に向けさせるためには、時と場合によっては炎上商法が必要になることも自覚すべきである。

高学歴者が行儀よくきれいごとをいっているだけではダメで、山本代表のような破天荒なキャラも必要だということである。

このことを立憲議員はぜんぜんわかっていない。

皆が貴族のようにふるまい、国会議員という特権階級に胡坐をかき、年間報酬およそ3~5千万円超を享受することが最大目的になっているかのような集団にしか見えない。

野党第一党でありながら政権をとる気もない。

維新の馬場の発言について、立憲の泉健太代表が「大変驚き、あきれる。本当に品のない、下劣な発言だ」「自民党の御用野党、仲良し政党だ」などと述べていたが、

とりあえず何か反論したという感じで、本気で戦うのだという強い気持ちが言葉から伝わってこない。

これでは相手に言われっぱなしで、立憲は維新の勢いに押されているとの悪印象を国民に与えかねない。

相手が「叩き潰す」「国民にとって存在価値があるのか」とケンカを売ってきているのだから、せめて「ハンガーストだの、ストーカー、セクハラの肥だめの集合体に言われたくない。あなたがたこそ叩きつぶす」

ぐらいの調子で応戦してもバチはあたらないだろう。

格闘技で「あおりVTR」というのがある。試合前にお互いが相手をののしりあう映像を見せて、視聴者の試合への興味をひきつける手法だが、やらせ半分でも効果は絶大である。

政治もこれと同じで、良し悪しはともかく、政治に全く関心がない若者、無党派層に振り向いてもらうにはある程度の演出が必要になってくる。

4年前から書いてきたことだが、無党派層をひきつけなければ、野党の党勢拡大などありえないのである。

入管法改悪の議場内の抗議で山本以外で一番目立っていたのが野党議員ではなく、東京新聞の望月衣塑子記者だったというのも情けない。

青木理氏がラジオで彼女のいさましい行動を批判していたが、私は同意しない。

「ジャーナリストは中立であるべき。活動家とは違う」というのが彼の言い分の主旨だが、それは理想論であって現実的ではない。

たとえば、戦場を取材するジャーナリストは、どちらかの陣営に与して取材活動をすることになる。

イラク戦争の時、欧米のジャーナリストは米軍の庇護を受けてヘルメットをかぶって取材していたし、(ローリングストーン誌記者の従軍手記「ジェネレーションキル」は有名)

今起こっているウクライナ戦争を日本人ジャーナリストが最前線で取材するとなれば、ロシアではなくウクライナ軍と行動を共にすることになるだろう。

それで中立的かつ活動家とは別次元の取材ができるかといえば、できるわけがない。だが、それは仕方がないことである。

一方でどこかの中国人ジャーナリストがこの戦争を取材するとなれば、ロシア軍にくっついて活動するはずである。

それでよいだろう。各々が各々の立場で取材して作った偏向レポートを我々外野が見て読んで内容のすり合わせを行い、その中から真実を判断していけばよいだけのことである。

中立を気取っているニュース解説屋の池上彰ならともかく、青木のような硬派の(はずの)フリージャーナリストが官邸に同調するかのように、同業者を公然と批判する言葉を発する必要はない。官邸が喜ぶだけである。

同調といえば立憲も然り。この党の立ち位置で与党側の山本の懲罰動議提出に賛成する必要があったのか。

山本をなぜか敵視している立憲議員は多いので、懲罰便乗にもたいして驚きはないが、

それにしても何度でも繰り返したい。野党第一党でありながらこの党は本気で政権をとる気があるのかと。

安住国会対策委員長は6月7日、国会内で記者団に「衆院議員は任期4年の半分にも至っておらず、解散の大義は何かを注視しないといけない」

「何十億円も使って選挙を実施する理由がどこにあるのか」と衆院の早期解散論に疑問を示したが、野党第一党がこの態度では話にならない。

私には「議員特権をあと2年間享受できる利益を奪わないでほしい」と岸田にお願いしているようにしか聞こえない。

違うだろう。

「立憲としては、国民のためにも、かくかくしかじかの政策を今すぐ実行し、日本をもっとよくしていきたい。そのために我々は今すぐ政権をとらなければならない。

「だから、岸田首相にはぜひ早期の解散総選挙を決断してほしい」
となぜ言えないのか。言うべきだろう。

不信任案の提出を検討しているとも言うが、「不信任案提出と解散は関係ない。こじつけのように使うものではない」と弁明しているのもどうかしている。

不信任案提出は、そもそも解散を迫る目的以外の何物でもない。こじつけて解釈しているのはどっちか。政権をとるために解散を迫っているのではないとしたら何なのか。

何のための不信任案提出なのか。岸田政権を総辞職させたところで(そもそもありえない話なのだが、そこは置くとして)政権は自公に温存されたままで、自分たちが政権をとって国民のために政策を実現できるわけではないだろう。

野党第一党がこの体たらくなのだから、岸田は楽で楽で笑いが止まらないはずである。

「公明との調整がうまくいけば、秋にやっても勝てる」と考えていても的外れとは言い難い。

ただ、秋に選挙、となると、タイミングによっては今以上の大増税方針が国民に暴露されてからになるので、この点の不安は多少あるだろう。

そこで、政権浮揚策として考えられるのが、日朝首脳会談の実現である。

6月8日、岸田は、北朝鮮の金正恩総書記と早期の首脳会談をめざす意向を明らかにした。

岸田は「あらゆる機会を逃さず、金総書記との首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベル協議をする努力を続けたい」と、まずは高官協議レベルの実施を目指すと公言した。

「前提条件なしで会談したい」とも言ったようだが、相手が頼んでもいないのに、お願いする立場の岸田が上から目線で前提条件がどうこう言うのもおかしな話ではある。

が、そこは置くとして、予想外だったのは、北朝鮮側が条件をつけながらも「両国が会えない理由はない」と回答してきたことである。

北朝鮮側の条件とは、一言で言えば、拉致問題の棚上げと経済制裁の見直しである。

経済制裁は、核実験問題が理由の一つとなっているが、これは交渉次第で何とかなるだろう。

何ともならないのは、経済制裁のもう一つの理由の拉致問題である。

この問題が解決しなければ、経済制裁を解除できないとの方針を変えなければ交渉の進展は望めない。

一つの案として、たとえば、拉致問題解決と経済制裁解除は同時履行でなく、後者をまず先履行にして一定期間様子を見るという案はどうだろうか。

たとえば、「向こう1年間は経済制裁を解除するので、その間これこれの約束した拉致被害者の調査、帰国を前向きに実行してほしい」と。

小泉政権時代の無償のコメ支援はその後の被害者の一部解放につながったし、何よりも北朝鮮はリーダーが祖父からその息子、さらに孫へと変わったので、交渉の余地はあると思う。

過激なトランプ前米大統領にも会談で好感を持たれた孫の金正恩は、父、祖父よりも温厚な性格として知られており、日本側が提案をトライしてみる価値はある。

この際、「北朝鮮が約束を守るわけがない」という憶測はなしにすべきである。期間限定でよいと割り切って。その間彼らを信じるしかない。

約束を破られたら元の木阿弥だが、そのときはそのときでまた改めて対応を考えればよい。

そもそも経済制裁一辺倒でうまくいかないのは、8年以上の安倍政権下で既に証明されていることなので、いずれにせよ発想の転換は必要である。

拉致被害者だった蓮池薫氏の兄の蓮池透氏も、経済制裁一辺倒では無為に時間が経過するだけで解決につながらないことを述べている。

著書「拉致被害者らを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」によると、

蓮池氏が政府関係者に経済制裁と拉致被害者救出の関係を聞いたところ、次のような答えが返ってきたという。

「経済制裁をすれば北朝鮮はもがき苦しむ。そして、どうしようもなくなって日本に助けを求めてくる。」

「ひれ伏して謝り、拉致被害者を差し出してくる。で、あるから、日本は広く窓を開けて待っているのだ」と。

これに対し、蓮池氏は、広く開けている窓にハエ一匹入ってこなかったのが現実ではないかと異議を唱えているが、その通りである。

安倍政権下の経済制裁圧力一辺倒政策は、日朝関係を悪化させただけで、何の成果ももたらさなかったことは岸田もわかりきっているはずである。

官房長官、自民の幹事長などを歴任した野中広務氏は在任中、9年間で8回も北朝鮮を訪問しているが、

その野中が回顧録で「日本の国民には分からないけれど、北朝鮮、韓国、中国、ロシアとは本当に仲良くしていかなければ、将来日本の国は危うい」と述べている。

来年1月に台湾総統選が行われるが、ここに中国が介入してくるのはほぼ間違いない。この選挙の行方は日中、日朝関係にも大きく影響してくることになるはずである。

そのあたりの理由は次回以降述べるとして、野中が言いたかったのは、日本とこれらの国は相互の利益依存関係にあるので、

どこかの国の野党のように、相手の揚げ足を取って好き嫌いでつきあいをしていている場合ではないということである。

今回はこの点が中心テーマのはずだったが、前置きのつもりで書いていた立憲の体たらくを勢いでダラダラ書きすぎて力尽きてしまった。次回以降はもう少しテーマに沿って書くように努力したい。

スポンサーサイト



0 Comments

Leave a comment