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広島サミット後の政局の鍵を握るのはあの元首相と検察である 

2023年5月21日




5月18日、G7広島サミットに対抗する形で、中国版サミットが陝西省西安で行われ、19日に閉幕した。

世界の分極化がより一層深刻化している。

中国版の評価は後日に回すとして、G7の首脳宣言では、中国、ロシア、北朝鮮、イランらが名指しで非難されたのには驚いた。

米国に隷属、盲従し、日本が親日のイランを非難するのは愚かという他ない。

一方でウクライナへの支援の継続、強化が謳われたが、
日本が西側の思惑に乗ってウクライナに武器支援をすれば(今回は遠慮したが)、ロシアとの関係は決定的に破綻し、北方領土問題の解決は永久、完全に今後不可能となるだろう。

ウクライナに必勝しゃもじを渡して、戦争継続を訴えて殺傷能力のある武器供与をしようという総理大臣が、平和な世界だの法の支配だの核兵器のない世界だの口にする資格があるのか。

4月25日、岸田政権は、殺傷能力のある武器輸出の解禁を目指して「防衛装備移転三原則」協議を開始した。

岸田は、武器の輸出大国を目指すべく、今国会で防衛産業の「生産基盤強化法案」を成立させ、武器の製造・輸出ができる体制を築こうとしているのだから、行動が全く伴っていない。

核兵器のない世界を謳っておきながら、日本を含めてG7が核兵器禁止条約には署名しないというのだから、茶番もここまで来れば笑うしかない。

核兵器はダメだが、トマホークを他国から購入し、軍事費を今後5年間で1,6倍に増やすために低所得者の国民からも税金をむしりとるという自家撞着を岸田はどう説明するのか。

1988年、日本の個人所得は世界2位だったが、安倍政権末期の2018年には26位まで転落した。

およそ30年間、先進国で賃金が上がっていないのは日本だけである。

今の日本はごく一部の既得権益層と非既得権益層(日本の労働者の99,7パーセントは、中小企業の従業員と非正規雇用の労働者)に分断されている。

5月15日の経済財政諮問会議で、岸田首相は久々に「成長と分配」のフレーズを用いて賃金上昇に向けた意気込みを語ったが、期待できない。

何せ少子化対策の財源に社会保障への上乗せを検討しているような政権である。全庶民からカネをむしりとる一方で、

「賃金上昇」「分配」に具体策がなければ、格差拡大が今後さらに加速していくだろう。

何もしない岸田の頭の中は、今衆院解散の是非を考えることでいっぱいだと思われる。

麻生太郎と森喜朗元首相のゴーサインさえあれば、6月解散7月選挙の決断に躊躇なく踏み切るだろう。

岸田と麻生は微妙な関係だと言われ続けているが、麻生は18日に行った麻生派の政治資金パーティーで岸田の全面支持を明言しており、

河野太郎の動向は無視できないものの、現状、敵に回ることは考えにくい。

森との師弟関係については今さら言うまでもないだろう。

権力基盤の強化には安倍派からのゆるぎない全面支持を取り付けることが必要条件だが、そのためには森の存在が欠かせない。

3月25日、森はNHK、読売などの大メディアにわざわざ事前通知して、東京のホテル内で萩生田、世耕、松野、西村、高木の安倍派5人と会談を行った。

この席で、森は萩生田を安倍派の会長に「指名」したと思われる。

私は、3000人が集まる5月16日の安倍派の政治資金パーティ-で森が公表するではと憶測していたが、

森はそもそもスピーチすらせずに会場を後にしたようである。その消極的な行動の真意は不明だが、森の置かれている立場を考えれば当然だともいえなくもない、

今の森は、公でえらそうなことを口にできる立場にはいない。

森は東京五輪・パラ汚職(以下、五輪汚職)の最高責任者として、逮捕起訴されてもおかしくない状況に追い込まれているからである。

五輪汚職がらみの事件では、現在15人が起訴されているが、4月21日、東京地裁で初の判決が出た。

AOKIホールディングスの元会長の青木拡憲、元副会長の青木宝久、元専務執行役員の上田雄久の各々に贈賄罪の有罪判決が下された。

5月11日には、ADKホールディングス」の元役員久松茂治と同社の五輪本部長多田俊明に、こちらも贈賄罪の有罪判決が各々に下された。

青木拡憲の初公判で、検察はAOKIの元幹部の供述調書を読み上げた。青木と収賄側の高橋の交渉に同席したという元幹部は、会話のほとんどを録音していたという。

その席で、高橋が「何だかんだ決めているのは森さん」と発言したことが確認されている。検察が録音内容を書き取って調書にしているのだから、発言の存在は間違いないと思われる。

その翌月の東京・六本木のステーキ店の会食には、森本人も出席した。

その席で青木は森に「日本選手団の公式制服をお願いしたい」などとに打診し、青木は捜査段階で「好感触を得た」と供述していたとされる。

青木は高橋、森を接待漬けにしており、19年9月に青木は「五輪で実現したい8項目」(公式制服の製作も含む)をまとめた要望書を高橋に手渡したという。

その接待の場にも森は同席していたとされる。

結果、青木はまんまと受注に成功し、その後に森を接待してお礼を伝えていたとされる。

刑法197条を説明するのは割愛するが、森の受託収賄容疑は火を見るよりも明らかである。

ここまで事実をつかんでおきながら、検察が森を不問に付すというのは許されることではない。

森のカネの流れを把握する立場にいる人物として、小林温元参議院議員の存在を挙げることができる。

小林は公職選挙法違反で有罪判決を受けて参議院議員を失職した男だが、
一方で、森からの信頼が厚いことでもよく知られている人物である。

彼は政界のフィクサーこと大樹総研グループの矢島義也との接点がある。

2015年5月に帝国ホテルで催された矢島の結婚披露宴に小林は出席しているが、

名簿には、今回有罪判決を受けた前述の五輪本部長多田俊明も名前を連ねていたとされる。小林を介して森と多田の関係がつながることをここで説明することができる。

矢島と言われてもピンとこない方がいるかもしれないので。少し紹介しておきたい。

月刊誌噂の真相と写真誌「FOCUS」99年7月21日号によると、

矢島は東京のマンションの一室で週に1回ほど乱交パーティーを開催していた過去を持つ。

マンションでは、女子大生やOLらが有名俳優や人気アイドルの相手をしていたという。

その後数年の時を経て、矢島は菅義偉、二階俊博に接近し、政官界に人脈を広げていき、政界のフィクサーと言われるまでに成り上がっていった。

ところがその大樹総研に22年3月、インサイダー取引疑惑でガサが入り、現在も矢島は捜査対象になっている。

話が脱線してしまったが、要するに、森の人脈を考えれば、彼が全面シロでお咎めなしというのは筋が通らないということである。

無罪放免なら今回「法の支配」を謳った岸田も本意ではないと信じたい。

で、あれば、検察は森を「参考人」ではなく、「重要参考人」に格上げして厳しく追及しなければならない。

今後森が捜査線上に浮上してくるようなら、党内力学ががらりと変わる可能性がある。

岸田が安倍派の全面支持の取り付けにあたふたするようなら、麻生派、茂木派が態度を変えてもおかしくない。

森を失えば岸田の権力基盤の弱体化は避けられないだろう。

そうとなれば、今後の政局を揺るがすのは弱体野党ではなく、検察だということになる。

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