岸田政権のこれ以上の存命は日本国民にとって地獄でしかない
2023年5月7日
4月9日に日銀総裁に就任した植田和男氏は、マイナス金利、異次元緩和の継続を明言した。
「上々の船出だ」と評した著名な経済評論家がいるが、違和感を覚える。
この識者はこれまで黒田前総裁の路線を批判し、アベノミクス見直しを唱えていたた。
それなのに、黒田路線踏襲を明言した植田を持ち上げるというのだから筋が通っていない。
私に言わせれば、植田も黒田と同じである。
植田の人選については、同志社大教授の浜矩子氏が「月刊マスコミ市民」4月号で、
植田が黒田路線を踏襲することを確認した上で岸田政権が選んだのだろうとの憶測を述べているが、同感である。
そうだとすれば、一番問題なのは植田ではなく、結論としてやはり内閣トップの岸田だということになる。
そもそも岸田が安倍路線を踏襲しているのは、権力基盤の強化のために100人の安倍派の支持をとりつけたいからに他ならない。
今の岸田は権力に取り憑かれている。一国の総理として日本が抱えている課題に本気で取りこもうなどとは微塵も頭にないものと思われる。
国立社会保障・人口問題研究所が4月26日にが発表した予想によると、2070年の日本の総人口は、現在の1億2600万人から、3割減の8700万人まで減少するとのことである。
内閣府は昨年の「日本経済2021-2022 成長と分配の好循環実現に向けて」と題したリポート(いわゆるミニ白書)の中で、
25~34歳の単身世帯の労働所得が著しく減少し、このことが「結婚して子どもを持つという選択が難しくなっている」との見解を示していた。
つまり、賃金の減少が少子化の最大の原因の一つだということを政府はとうの昔にわかっているのである。
にもかかわらず、岸田は具体的に動こうとしない。
年間労働収入が韓国に抜かれた時点で危機感があってもいいはずだが、世襲岸田には将来への危機感の意識というものが行動から全く見えてこない。
だから必要もない憲法論議に国民そっちのけで前のめりになっていく。
ゴールデンウィークには、長男を同行して、渡航費用推定5億円をかけて、アフリカ4カ国に1700億円のバラマキを行った。
NHKや日本テレビなどの大メディアは、アフリカ諸国との連携強化のためなどと渡航の意義を強調していたが、
費用対効果でいえば今回の歴訪はプラスになったとは思えない。
歴訪したアフリカ4カ国は、エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークだが、いずれもすでに親日国家である。
現時点で改めて関係強化のために訪れる必要があるようなメンツではない。
「中国・ロシアのアフリカ接近にくさびを打つ」ことが歴訪の狙いの一つであると政府関係者は言っていたようだが、そうであれば、これらの国々ではなく、
日本と関係が薄いとされる親中親露の国の訪問を考えるべきではなかったのか。
たとえば、中国はアフリカで「健康シルクロード」構想をぶち上げている、
構想の中核となるエチオピアの首都に日本円で100億円超を投入し、「アフリカ疫病対策センター」を建設している。
アフリカ諸国に漢方医らの医師を派遣して、中小規模の診療所を多数開設するなど抜け目のない活動を展開中である。
中国は、アンゴラ、ナイジェリア、スーダンなどアフリカ35カ国でインフラ・プロジェクトに関与しているが、
中国のアフリカ接近にくさびを打ちたいのなら、これらの国々への歴訪を真っ先に考えるべきではなかったのか。
ロシアのプーチン大統領は、昨年マリ政府に30万トンの肥料の無償支援を約束、履行している。
プーチンは「必要としている国はたくさんある」とし、ロシア国内の港に滞留している肥料をアフリカ諸国に無償提供を行う姿勢を示している。
3月2日のロシアのウクライナ侵攻への国連非難決議では、54のアフリカの国連加盟国のうち、ほぼ半数が非難決議に賛成していない。
ロシアを国連人権理事会から追放する4月7日の決議では、10カ国が賛成したが、
9カ国(アルジェリア、ブルンジ、中央アフリカ、コンゴ、エリトリア、エチオピア、ガボン、マリ、ジンバブエ)が反対している。
「ロシアのアフリカ接近にくさびを打つ」のが歴訪の狙いの一つならば、これらの国々の訪問を真っ先に考えるべきだったはずである。
岸田は共同記者会見で、「経済支援はサハラ砂漠南部のサヘル地域の平和に貢献するものだ」と言っていたが、
ウクライナまで出張って、停戦を呼びかけることなく、逆に「必勝しゃもじ」を渡して「ロシアに勝て」と激励してきた男が何を言っているのか。
平和の言葉を口にする資格など今の岸田にはない。
歴訪前の4月25日、岸田政権は、殺傷能力のある武器輸出の解禁を目指して「防衛装備移転三原則」協議を開始した。
岸田は、武器の輸出大国を目指すべく、今国会で防衛産業の「生産基盤強化法案」を成立させ、血税を使って武器の製造・輸出ができる体制を築こうとしている。
ところで、2016年に上梓された東京新聞記者の望月衣塑子著「武器輸出と日本企業 (角川新書)」は、今日の政府の方向性を暗示している名著である。
タイトルは硬いが、文章がうまく、臨場感あふれるダイナミックな内容なので、非常に読みやすい。政府や企業の積年の動向を知る上で必読の書と言えるだろう。
話を戻すが、殺傷能力の高い武器製造はこれまでの政府解釈に反し、簡単に見過ごごしてよい問題ではない。
政府はこれまで自衛のための必要最小限度の実力は戦力には当たらないとしてきた。
この見解によると、戦力にあたる実力部隊と自衛力に留まる実力部隊との区別基準が問題となるが、
この点につき、政府は他国に侵略的な脅威を与える攻撃的武器は製造、保持できないという立場を採ってきたはずである。
ところが、岸田政権は、従来の「必要最小限度の戦力保持」から最小限度の文言を削除し、
新たな法律を作って武器輸出を可能にし、憲法改悪のダメ押しで既成事実化を試みようとしている。
広島サミットで、岸田が日本のウクライナへの武器支援を少しでもほのめかそうものなら、我々有権者が衆院選でとるべき行動は唯一つ、
I am not Kishida.でなければならない。
5月から値上げする飲食料品が824品目(帝国データバンク調査)、実質賃金は11か月連続のマイナス(4月7日厚労省発表)というご時世に、
呑気に息子同伴のGW海外旅行に5億円もの税金を使い、
向こう5年間で43兆円(実質60兆円)もの税金を軍事費に投入しようとしている地獄の岸田政権にはこれ以上つきあってはいられない。
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