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今年7月衆院選なら岸田政権勝利は確実な情勢 

2023年4月30日


入管法改悪案が4月28日、衆議院法務委員会で自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決された。

いくつかの修正案は盛り込まれたが、そもそもの話、日本の入管法は、国際人権規約や難民条約の国際基準に抵触している。

で、あれば、まずこの国際基準をクリアするよう改めることが改正の第一歩でなければならなかったはずである。

ところが今回可決された改正案は、前回2021年5月に廃案となった政府案と主要な点は変わり映えしないものだった。

にもかかわらず、立憲、共産らは、何としても廃案に追い込むのだと気迫に欠けていた。

廃案に追い込むだけでなく、適正な改革案の提供にも努めるべきであった。

第三者機関の設置がどうだらと譲歩案を示して、安易な妥協を模索すべきではなかった。

大メディアも、難民申請の回数制限と適切な医療を受けられずに死亡したスリランカ人のウィシュマ氏の事例を強調して改悪法案を論じているが、

これらは問題の各論にすぎない。

総論、大前提から考えていかないと、そこから派生する各論の問題が改善されるはずもない。

たとえば、仮放免者の人権保障と入管の強大な権力の抑制は改善すべき喫緊の課題である。

仮放免者には身分証明の手段がない。就労もできないし、社会保険にも入れないが、これが人間に対する適正な扱いと言えるのか。

彼らにどうやって日本で生きていけというのか。こうした喫緊の切実な問題が放置されたままであってはならない。

1965年に発行された法務省入国参事官の池上努の著書「法的地位200の質問」の中に

「(外国人は)煮て食おうが焼いて食おうが我々の自由だ」との記述があるが、この言葉は国側の本音を端的に表している。

入管には強大な権限が付与されている。入国警備官が令状を取って強制捜査や逮捕、押収をする検眼まで持っていることはあまり知られていない。

しかも彼らには、こと外国人相手に限って言えば、警察や検察よりも強大な権限が付与されている。

たとえば、警察、検察が、捜索や現行犯以外の逮捕権を行使するときは、裁判所の許可を得て令状を取る必要があるが

入管には法によって何と自ら令状を発行できる権限が付与されている。この令状(収容令書)の発行権限は、主任審査官(地方入管局長及び同次長)にある。

施設への収容から収容期限まで、この主任審査官が恣意的に判断できることになっている。

あいまいな理由で収容された者が、死ぬまで無期限で収容できるという独裁ルールが確立されているのである。

自分らで令状を出して捜査も自分らで行い、収容まで決め、収容期限も自分たちの胸先三寸で決めることができ、その間、第三者(裁判所など)のチェックが入ることもない。

日本人の容疑者が逮捕勾留されるまでに、2度の令状チェックが入るのと比較すれば、その不当性がよくわかるというものである。

というか、そもそも入管施設は、強制送還するまでの一時的な仮宿泊所であり、拘置所や警察の代用監獄とは役割が異なるので、2重,3重の意味でおかしな運用がなされているといえる。

野党がこの点の改正改革の模索に尻込みして問題を矮小化し、効果希薄な譲歩案を提示して幕引きを図ろうとすることは断じて許されることではない。

とはいえ、これがたとえ選挙前のさえないパフォーマンスだと有権者に見抜かれたとしでも、選挙情勢に影響が及ぶことはないかもしれない。

ここまで書いてきてどうかとも思うのだが、国民の大半は入管法改悪に関心がないからである。

4月23日に行われた衆参5補選の結果を見ればわかるというものである。

政策を訴えない候補者の方が得票数を稼いで当選しているではないか。

山口2区の世襲の岸信千代(自民)は、政策らしい政策をまるで訴えなかったが、政策を訴えた平岡秀夫候補に勝利した。

本ブログは3月上旬の時点で、立憲が強力な候補者を立てれば岸に勝てる、と予測していた。それだけに結果は残念だった。

平岡は、岡田克也幹事長の反対で立憲の公認を得られずに無所属で出馬しており、そもそも与党に勝てる候補ではなかったといえる。

千葉5区でも、立憲は自民に競り負けたが、無論、候補者の政策の訴求能力が低かったからではない。

あれだけ野党が乱立すれば、誰が出ていても勝てないというだけのことである。初歩的な戦略の失敗である。

山口4区の有田芳生(立憲)は、安倍王国の中でよく戦ったと思う。彼は統一教会問題追及の第一人者だが、選挙戦ではむしろアベノミクスの是非に焦点を当て、まっとうな政策を有権者に訴えていた。

対抗馬の吉田真次(自民)は政策なしも同然だったが、それでも有田にダブルスコアの大差をつけて勝った。

吉田は市議時代に、外国人(アジア系)蔑視の許しがたいツィートをしていたことで知られているが、大多数有権者は気にも留めなかったということになる。

有権者の関心は、吉田が安倍王国バックの候補者であるという、その1点にあった。繰り返すが、政策は関係ない(そもそも主張していないのだが)

政策を全くと言っていいほど主張しないで圧勝といえば、2020年の東京都知事選の小池百合子を思い出す。

当時小池は、コロナ拡大への対応不備で非難の矢面に立たされていた。

学歴詐称疑惑も浮上していた中で、ヘタに公に出て政策などを訴えようものなら、返す刀で叩かれることは目に見えていた。

だから彼女は選挙期間中だんまりを決め込んだ。
だが、その戦略が功を奏し、366万票を獲得して当選を果たした。

政策や方針をこまごまと訴えていた2位の宇都宮健児氏、3位につけた山本太郎ら候補者21人の合計得票を上回る派手な圧勝劇だった。

無党派層が多い東京でさえこの結果なのだから、地方は推して知るべしということになるだろう。

地方と言えば、今回の統一選挙で個人的に注目したのは、原発立地地域の選挙結果だった。原発推進候補者がどれだけ票を取れるか、大いに関心があった。

たとえば、青森県には主に4つの原発関連施設が立地しているが、

かつてはともかく、今では原発の是非は選挙の主要な争点ではなくなっている

町村レベルでは、全く争点になっておらず、むしろ原発の推進を前提とした候補者が乱立している地域もある。

そのような状況の中で、今回私が注目していたのは六ヶ所村議会議員選だった。

2011年の東日本大震災前から原発、核燃料サイクルの廃絶を地元で訴え続けている菊川けいこ氏という、地元では有名な方がいる。

メディアは彼女を黙殺しているが、「レイバーネット」サイトが今回の選挙を取り上げているので、興味のある方はそちらの情報もチェックしていただきたいと思う。

今回の候補者18人の中で、反原発を全面に訴えていたのは、私の知る限り菊川氏だけで、結果は以下の通りであった。

1位 某氏 533票
2位 同上 524票
3位~17位同上 500票~225票
18位(最下位)菊川けいこ 30票

菊川氏は、ダントツのブービーで落選した。

前述の通り、菊川氏は昨日今日出てきた方ではない。地元では数年前から名前が通っており、人格者との評判もある唯一の女性候補者だった。

政策(反原発)を訴えなければ、彼女は当選しただろうと言う口の悪い地元有権者もいたが、実際その通りだったかもしれない。

だが、政策を訴えたから落選して、何も言わなければ当選していただろうというのでは、

前回ブログで紹介した岸田首相襲撃犯の木村容疑者の控訴状ではないが「日本はもはや民主主義国家ではない」。

4月30日に各メディアが公表した世論調査によると、岸田内閣の支持率が軒並みアップしている。(日経は何と52パーセントの支持率)

個々の政策には反対でも、自公与党には投票するということなのか。

5月の広島サミットの余勢を駆って、6月解散7月総選挙なら岸田政権勝利確実の現実味が帯びてきたといえるだろう。

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