FC2ブログ

イラン政府の指示でサウジの石油施設攻撃が行われるわけがない  

2019年9月19日

 


 

サウジアラビアの石油施設を攻撃した主体については,おおよそ以下の説に分類できる。

 

イランによる単独攻撃説

 

イエメンの反政府組織フーシー派による単独攻撃説

 

イランとフーシー派のタッグによる攻撃説

 

解任されたボルトンを支持する米内部の強硬派が,イランとの対話を模索し始めているトランプをけん制しようとしている米国関与説

 

イスラエルが総選挙の前に危機を高めて劣勢を跳ね返そうというイスラエルと米国の関与説

 

だいたいこんなところだろうか。どの説もありうるが,複数の説が絡み合っている可能性もある。

 

テレビや新聞の大メディアを主戦場として活躍している識者らは,(はっきりとは言わないが),イラン単独行為説をほのめかし,

 

在野の識者らは,米国関与説を主張している傾向があるといえるが,

 

本ブログの立場は,攻撃自体は,フーシー派が単独で行ったもので,

 

イラン革命防衛隊の反米強硬派が,武器や技術を提供していた可能性はあっても,イラン政府の関与はない,と考える。

 

フーシー派単独犯行説の根拠は,単純に,フーシー派が正式に犯行声明を出しているからである。この声明さえ出ていなければ,イスラエルや米国関与の憶測もありだが,今回はない。

 

イラン政府が関与していないとの根拠については,これも単純だが,今回のような中途半端な攻撃に関与して,サウジ,イスラエル,米国を怒らせたところで,イラン政府に何のメリットもないからである。

 

イランはサウジと敵同士ではあるが,対イスラエルのように,お互いが全面戦争を望むほど憎しみあっているわけではない。


両者の背後関係を考えれば,イラン政府の指示で,サウジが先制軍事攻撃にさらされるなど,まったく考えらない。

 

日本のテレビメディアは伝えていないが,イランのロウハニ大統領は,16日にトルコのエルドアン大統領に招かれて,


ロシアのプーチン大統領と,シリア反体制派最後の主要拠点となっている北西部イドリブ県の人道的危機について,三者協議を行っている。

 

このようなロウハニ大統領が,そのわずか2日前に,サウジ攻撃を考えていたなどというのは不自然ではないか。

 

では,ロウハニらイラン政府の指示ではなく,イラン政府の直属にないイラン革命防衛隊の反米強硬派が暴走・関与した可能性はあるか,といったら,あるだろう。


彼ら強硬派は,イラン政府の方針に従順ではないからである。

 

だが,最高指導者のハメネイ師とロウハニ大統領は,核合意復帰に後ろ向きの米国とは交渉を拒否するとの姿勢を一貫して崩しておらず,この点についてはブレがないことから,


革命防衛隊が,イラン政府に牽制の意味で,今回の攻撃に及ぶような理由も見出しがたいというべきである。

 

つまり,サウジを攻撃したくてウズウズしていたフーシー派に大量の武器供与・技術援助を行った可能性はあっても,直接攻撃はありえないと考えるべきである。

 

ところで,では,今回フーシー派は,なぜ大規模攻撃に踏み切ったのか。

 

8月28日付のウォ-ルストリートジャーナルによると,米国政府は,プーシー派と直接対話する準備を進めていたという。

 

米国は,オマーンでフーシ派指導部と開く予定の秘密協議に,何とサウジアラビアを引き入れて、年にわたるイエメン内戦の停戦を仲介したい考えだったという。

 

この「秘密協議」の行方については,私の知る限り,どのメディアも全く伝えていないが,今回の攻撃がフーシー派の答えだとしたら,そういうことである。

 

つまり,交渉は決裂し,フーシー派は,サウジ政府との全面対決の継続を望んだということである。

 

ハメネイ師は会見で,イラン政府の攻撃関与を否定し,フーシー派の単独行動であると主張していたが,その言葉は真実である可能性が高いといえる。




スポンサーサイト



0 Comments

Leave a comment