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拉致問題解決の道筋と米朝首脳会談決裂の理由を探ってみる 

2019年3月10日

 

 


安倍総理が,拉致問題解決に向けて「真摯な行動」をとったことは,これまでのところ,全くない。

 

その安倍氏は,トランプ大統領に,先の米朝首脳再会談で拉致問題を金正恩委員長に問題提起するよう要請したことを国会で明らかにした。


確かに,拉致問題で米国とタッグを組むことは必ずしもピンとはずれの行動ではない。

 

米国の北朝鮮人権法の第202項(2)によると,北朝鮮に対する支援の条件として,

 

北朝鮮政府により拉致された韓国国民、及び日本国民に関する全情報の開示と,
拉致被害者達及びその家族が北朝鮮を去り母国へ帰国する完全且つ真なる自由の容認

が明記されているからである。

 

http://www.asahi-net.or.jp/~fe6h-ktu/nkhumanrightsact.htm

 

つまり,この法律による限り,日韓の拉致問題解決なくして米国の北朝鮮支援もありえないのである。

 

トランプが安倍氏と違って,「法の支配」を理解しているのであれば,拉致問題にも真剣に取り組まざるをえないと考えているだろう。

 

それはともかく,安倍氏のトランプに対する問題提起要請を,北朝鮮は「見苦しい行動」と糾弾している。

 

ここにきて北朝鮮機関紙は,安倍氏と河野外相の言動に非難を強めていることから,安倍氏が望む日朝首脳会談の実現はかなり厳しくなってきた。

 

ただし,早期の実現可能性がゼロかと言えば,そうとも言えない。金正恩が,「日本がカネさえ出せば会談に応じる」旨,同通信が伝えているからである。

 

さらに同通信は,日本が過去清算しない限り云々と書いているが,それは体裁,建前であろう。

 

北朝鮮が経済的に困窮しているのは間違いない。2月22日のAFP通信によると,北朝鮮は国連に対し、今年はコメ、小麦、ジャガイモ、大豆などの食糧の生産量が140万トン不足する見通しだと説明して支援を要請しているからである。

 

国連の統計でも、北朝鮮では人口の41%に相当する約105万人が食糧支援を必要としているとのことである。

 

北朝鮮事情に詳しいデイリーNKジャパンによると,北朝鮮の労働者の一般的な月給は4000北朝鮮ウォン(日本円で約52円)。平均的な4人家族の1ヶ月の生活費は50万北朝鮮ウォン(日本円で約6500円)と,国際水準に照らしても北朝鮮国民が貧困な暮らしを強いられていることがわかる。

 

仮に,今インフレでも起きようものなら,人口の半数以上は餓死に至るだろう。

 

このような状況を踏まえて,先の米朝首脳会談で,北朝鮮は、アメリカの査察のもとで寧辺核施設を完全に廃棄する見返りとして,民間の経済と北朝鮮国民の暮らしを妨げている制裁のみを解除するよう提案したが,決裂した。

 

憶測だが,ディールを重んじるトランプは,北朝鮮の提案に乗ってもよいと考えていたのではないか。


ところが,当初随行者名簿になかったボルトンが突如ハノイに現れて,北朝鮮に無理難題を吹っかけ,それまでの交渉を水の泡にした。

 

トランプがボルトンの言動を容認したということは,彼が軍産複合体に対する全面的な抵抗勢力ではないということを意味する。

 

即ち,トランプは,彼なりの考えで,1パーセント寡頭勢力と適度に距離を保ちながらうまく権力を維持しているということである。

 

彼が本気で,軍産複合体を含んだ米国の真の権力者層に歯向かっていれば,今頃は暗殺されているだろう。


だが,そうなっていないのは,彼が状況に応じて,彼らとディールしているからではないか。

 

先の米朝首脳会談で,トランプは金正恩に,米韓軍事合同演習の規模縮小を約束した。今回,金正恩へのディール提案としては,これがせいぜいだったということである。

 

ところで,ボルトンが突如現れた背景に,米議会がコーエンの公聴会を米朝首脳会談の1日目にぶつけてきたことと関係があるのではないかと憶測する有識者が多いが,当ブログでは当初から関連性なしと考えている。

 

事実,コーエンは,公聴会でトランプの人格的非難をしただけで,目新しいことを証言しなかった。トランプが懸念するような証言は何も出なかったのである。

 

ただし,ここで当ブログは,何もコーエンがトランプにとって脅威ではないということを言っているのではない。公聴会出席と米朝首脳会談とは何の関係もないということを言いたいだけである。

 

前置きが長くなって,今回は前回予告した拉致問題解決の主題まで踏み込むことができなかった。それについては,今後折に触れて述べていこうと思う。







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